端午の節句には菖蒲湯に入る風習がありますね。
冬至のゆず湯に並ぶ、季節を感じる薬湯の代表です。
ところでこの菖蒲湯、風習として入っていたりしますが、体には一体どんな効果があるものなんでしょうか?
この菖蒲湯には多くの効能がありました。
その効果を引き出す為のお風呂の作り方をご紹介します!
5月の行事でなんとなく入るだけだった菖蒲湯について、改めて確認していきましょう。
菖蒲湯の作り方
筆者はなんとなく浴槽のお湯にそのまま束にしてザブンと放り込んで「ハイ、菖蒲湯一丁あがり!」だと思い込んでいました。
それは確かに間違いなく菖蒲が入った菖蒲湯ではあるのですが、これだと菖蒲の有効成分がうまく出ていないそうです。
菖蒲にはアロマテラピーでよく言うところの『精油』が含まれています。
精油は心と体にいい影響を及ぼす植物パワーです。
特に根や茎部分に多いのですが、もちろん葉にも含まれています。
これをうまくお湯に溶けださせる必要があるのですね。
菖蒲湯の『ショウブ』について注意
作り方の前に勘違いされている方も多いので注意があります。
『ショウブ』というと紫色の花が咲く植物を思い浮かべませんか?
実は紫色の花の咲くショウブは『ハナショウブ』といって菖蒲湯で使う『ショウブ』とは別の植物です。
ハナショウブはアヤメ科アヤメ属です。
一方、菖蒲湯の『ショウブ』は湿地帯に生息する「サトイモ科ショウブ属」の植物で、香り菖蒲とも呼ばれます。
菖蒲の花はヤングコーンのようで、一見「花?」と思う位地味なものです。
間違えてハナショウブの葉をお風呂に入れないようにしましょう。
ちなみにハナショウブには毒があります。
菖蒲湯の作り方①
これは菖蒲の成分を先に抽出するやり方です。
一番精油が抽出されます。
1.菖蒲の葉を切る。細かく刻んでもいいが1㎝~3㎝位の長さのざく切りで十分。
使う量は一掴み分です。
2.ガーゼや布の袋に入れる。袋がなければ包めばOK、お茶用のパックでもOK。
3.菖蒲の袋を洗面器に入れ、熱湯を注いで10分置く。
この時、湯気の中にも気管支炎や咳などの呼吸器系にいい成分が混ざっています。
湯気を吸い込むのもいいですよ。
4.10分経ったら洗面器の中身(お湯と菖蒲の袋)を浴槽のお湯に混ぜて完成!
菖蒲湯の作り方②
こちらは菖蒲を切らないやり方です。
お湯を沸かす前から菖蒲を入れますので、風呂釜に菖蒲がつまらないよう注意が必要です。
1.菖蒲を10本位束ねておく
2.水から沸かす場合は、水の状態から菖蒲を浮かべておきます。
3.菖蒲が入った状態でちょっと温度を高めにして(43℃位)お湯を沸かします。
4.適温にお湯をさますか水でぬるくして完成!
給湯式の場合
1.空の浴槽に菖蒲を入れてから給湯開始。この時のお湯は43℃位の高めに設定。
2.給湯後、お湯が冷めて適温になったら完成!
これらのやり方でお風呂を作った場合、精油成分がよく抽出されて体への効果も期待できるのですが、併せて香りも強くなります。
大人だと「草のさわやかな香り」と感じる方も多いのですが、人によっては、特に子供は「なんかクサイ…ドクダミ臭い…」と嫌なニオイに感じたりもします。
クサイという場合は束ねた菖蒲をただお湯に浮かべるだけにしておくだけでいいと思います。
よもぎはどうする?
菖蒲を買うと一緒によもぎが付いてくることが多いです。
これは菖蒲と共に厄除けとして昔から使われてきた為です。
よもぎは万能薬草として有名ですし、よもぎ湯というのもありますのでぜひ一緒にお風呂に入れましょう。
ただしよもぎには通経作用があると言われていて、妊娠中・授乳中は避けたほうが良いとされています。
菖蒲湯の効能
アロマの精油成分が溶け込んだお風呂を作ったら早速お湯につかりましょう!
その菖蒲湯の効能をご紹介します。
効能
・血行促進
・冷えの改善
・神経痛
・不眠改善
・呼吸器系の不調
・抗菌・抗ウイルス効果
・腹痛
・リウマチ
・自律神経を安定させる
精油の成分
体にいい影響を及ぼす菖蒲の精油。
精油の成分としてはβ-アサロンやオイゲノールという物が多く含まれています。
これらは抗菌作用や抗ウイルス作用が強いため、風邪の予防にもつながります。
また、テルペンという成分はリラックスをさせたり血圧を下げる働きがあります。
これらの成分によって上記のような効能が期待できます。
菖蒲湯につかったらかゆい、ピリピリしてきた場合
菖蒲湯は赤ちゃんが浸かっても大丈夫なのですが、中にはかぶれたりかゆくなったりする人がいます。
肌が弱かったり、免疫が落ちている状態だと精油の成分が刺激になって肌がヒリヒリしてくることがあります。
もし菖蒲湯に入って異常を感じたらすぐに出て「普通のお湯」で体を流しましょう。
菖蒲湯の菖蒲はどこで買う?
菖蒲湯に使う菖蒲が近くに生えているなら手に入りやすいですが、なかなかそうはいきません。
一般的には購入する事になります。
菖蒲を売っている所
菖蒲は『花屋・八百屋・スーパー・ホームセンター』で時期が来ると販売しています。
基本的に5月5日までの数日間しか店頭に置いていないでしょう。
ただし5月5日当日になると売り切れてしまうこともあるのでご注意を。
確実に用意するためならお店に予約や取り置きをお願いしておくといいですね。
予約をする時、ベテランの店員さんであれば「菖蒲湯の菖蒲」でわかってくれるでしょう。
しかし慣れていない店員さんだとハナショウブと勘違いされてしまうかもしれません。
もし店員さんが慣れていなそうであれば、予約する時にしっかりと「菖蒲湯に使う香り菖蒲。紫色の花が咲くハナショウブとは違うよ」と説明しましょう。
取りに行ったら紫色の花束が待っていた…そうならない為に店員さんに伝えておきましょう。
まとめ
行事としての菖蒲湯ですが、たくさんの効能がありました。
菖蒲の精油成分を抽出することによって、さらに効果を高める事ができますね。
精油をよく出すためにはちょっと面倒ですが菖蒲を切って熱湯につけるお風呂の作り方です。
切るのが面倒であれば浴槽に束ねた菖蒲を入れ、水から沸かすか熱めのお湯を給湯するかですね。
香り自体に自律神経を安定させる効果がある他、菖蒲湯には血行促進などの効能があります。
ただの行事風呂ではなく、昔ながらの薬湯です。
夏に向けて植物のパワーを取り入れてみてはいかがでしょうか。