柿だけを発酵させて作る柿酢。
これを作っている時に、表面に白い膜が発生します。
なんだか見た目が不気味です。
膜はカビなのでしょうか?
白い膜の他にわかりやすくカビが生える事もあります。
また、コンニャクみたいなゼリー状の物体が出てきたりもします。
こういう物が発生した手作りの柿酢は大丈夫なのでしょうか?
それとも腐敗してしまってダメなのでしょうか?
これらの白い膜やゼリーの正体と対処法について確認していきたいと思います。
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柿酢に白い膜が発生!
酢を使わずに柿だけで柿酢を作っていると、発酵途中で表面に白い膜っぽいものが発生してきます。
これは…何?
カビ?
カビなのか!?
見た目がなんだか気持ち悪いですし、その膜を発見してしまった時にはカビかと思いますよね。
この白い膜は正確にはカビの一種ですが、一般的に言われる悪いカビではありません。
まずはその正体を確認してみましょう。
白い膜は柿酢を作る酵母菌のもの
実はこの白い膜は、柿を発酵させて酢にする柿の天然酵母が作り出したものです。
この膜が発生しても害はありませんのでご安心下さい。
酵母菌の仲間は白い膜を作り出す特徴があり、この膜を『産膜酵母』と呼びます。
ちなみに梅干しを自分で漬けると、梅の塩漬け中にも同じ産膜酵母が発生する事があります。
ぬか床の表面にも発生しますし、菌の種類は違いますがナタデココは産膜酵母の塊です。
産膜酵母は、それ自体が発生しても問題ありませんからご安心下さいね。
柿酢の白い膜は取るべき?
ではこの白い膜、そのままにしておいてもいいのでしょうか?
取るか取らないかで迷うと思います。
実際のところ、これを一度も取らないで柿酢を作る人はいます。
害はないので別に取らなくてもいいのですが、筆者は取る事をおすすめします。
その理由は二つ。
・産膜酵母をそのままにしておくと味が悪くなる事があるから。
・そして産膜酵母自体にカビが発生する事があるから。
表面に膜がある状態ですと、その膜にカビ菌が付着して青カビや黒カビ、ふわふわした菌糸の白カビが発生しやすくなります。
ですのでカビ予防の為にも白い膜は取った方がいいと思います。
もし膜が取りにくいようなら、全体をかき回して膜を柿の中に混ぜ込んでしまうといいです。
というのも産膜酵母は酸素が大好きなので、柿の内部の酸素が少ない所に混ぜてしまえば繁殖を抑える事ができるからです。
そんな理由もあり、アルコール臭がする間は毎日1回は完全に乾かした清潔なスプーンでかき回す事をおすすめします。
かき回していれば表面の菌が空気に触れ続けて膜が発生するのを防げますよ。
柿酢にカビが生えたら?
柿酢は殺菌用のアルコールも、菌を繁殖させない濃い糖分も塩分もない状態で作ります。
ですので完成するまではカビが生えやすい状態です。
上手くいけば酵母菌が頑張ってくれてカビの発生無しで作り終える事ができますが、やっぱりカビ発生率は高いです。
青カビや黒、赤カビ、そして白くてホワホワした菌糸があるカビが発生した場合、ポツンとカビが生えた程度ならカビとその周辺を取り除けば復活する事が多いです。
しかしその後もカビが発生したり、広い面積でカビが生えているなら見えない部分も菌糸に侵されています。
カビの中には中毒を起こす毒があるものもあります。
もったいないですが危険ですので繰り返しカビが発生したり、広範囲でカビが発生した柿酢は捨てて下さい。
カビを予防するには
カビによる悲劇を防ぐには、発生してからでは遅いです。
次回からは柿酢作り初期の段階で手を打っておきましょう。
カビを生やさないようにするには、柿を早い段階でぐちゃぐちゃに潰しておく事です。
柿が空気にさらされている面積が多くなると、酵母菌だけでなく空気中のカビ菌が付着する可能性が高くなります。
ですので、空気に触れる部分を少なくするために潰してしまうのです。
柿を容器に詰める段階でギューッと押し込んで隙間を少なくして、1日2日経って柿が柔らかくなってきたらしゃもじなどで完全に潰してしまいましょう。
出来るだけ柔らかくなった柿を使って、仕込み用の容器に入れてから時間が経たないうちに柿を潰してしまうのが一番安心です。
柿酢にゼリー状のコンニャクみたいな物体が!
柿酢を作っていると白い膜やらカビやら色々発生してきます。
そしてそれら以外にこんにゃくみたいなゼリー状の物体も発生…
次から次に現れる謎の物体。
この半透明のゼリー状のモノは、大抵「もう少しで完成か?」位のタイミングで現れる事が多いです。
酢になるはずなのに、どうしてゼリーができるのさ?
謎のゼリー状の物体、これは何なのでしょうか?
ゼリー状の物も無害!
柿酢に現れた半透明の謎のゼリー物体、なんか気持ちわるいです。
でも大丈夫、これも無害です。
実は柿が酢になる段階で酵母菌の他、酢酸菌という菌も仕事をしています。
酢酸菌は最後の仕上げといいますか、酢を作り出す働きをします。
酵母が柿を発酵させてアルコールを作り出すと、空気中の酢酸菌が柿酢のタネに付きます。
酢酸菌が酵母菌が作ったアルコールを酢に変えていくのです。
この時に例のゼリーが作られます。
このゼリーの事は『酢酸菌膜』といいます。
このゼリー膜は雑菌が入らないように酢酸菌が作ったものですから、白い膜のように取り除く必要はありません。
柿酢が完成した時に柿の実と一緒にこせばOKです。
ゼリー状のモノは柿を酢に変える過程で酢酸菌が作り出したものです。
これが出来たという事は、菌の「ちゃんと仕事してます!」という合図でもありますよ。
最後に
柿酢を発酵している時に発生した物でダメなものはカラフルでふわふわな菌糸のあるカビです。
こういったカビが発生したら諦めて捨てましょう。
体の方が大事です。
それ以外の白い膜やゼリー状の物体に関しては何ら問題はありません。
害があるものではありませんので安心して作って下さい。
その他注意しなくてはいけないのはニオイに釣られてやってくる小虫です。
特にショウジョウバエはしつこくやってきますから容器の中に虫が入らないように注意して下さいね!
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