桃のコンポートを作ると茶色く変色してしまう事があります。
使った桃がきれいな桃でもそうなってしまったりしますよね。
桃のコンポートはピンク色で見た目もかわいらしいです。
変色してしまうとがっかりですよね。
どうして色が悪くなってしまうのでしょうか?
コンポートをきれいに色付けするにはどうしたらいいのでしょうか?
そこで、今回はその原因と変色を防ぐ方法をご紹介したいと思います。
桃のコンポートが変色する原因
桃をコンポートにしてからしばらくすると変色して黒ずんだり茶色くなってしまう事がありませんか?
きれいな淡い色のコンポートが出来たと思っても、冷ましたり保存しているうちにいつの間にか変色してしまう事があります。
食べられない訳ではありませんが、何だか傷んでしまったようで嫌ですよね。
せっかく作るのだから、きれいな色をキープしたい…
変色しないようにするため、まずはどうしてコンポートにした桃が変色するのか、その原因を確認してみましょう。
桃が変色する理由
桃、そのまま食べてもおいしいですよね。
桃はビタミンやミネラルが少ない果物です。
しかし、ポリフェノールと呼ばれる抗酸化物質がたくさん含まれています。
桃が変色するのにポリフェノールが深く関わっています。
桃が変色するのはポリフェノールだけが原因ではありません。
酸素、ポリフェノール、そしてポリフェノールを変化させる酵素の3つが揃った事が原因です。
ちなみに酵素は『ポリフェノールオキシターゼ』という名前のものです。
この3つが出会うと、ポリフェノールオキシターゼが酸素と桃のポリフェノールを結び付けて化学反応を起こします。
化学反応、すなわちポリフェノールが酸化する事で桃が茶色く黒ずむように変色してしまうのです。
酵素のポリフェノールオキシターゼが2つがくっつく為の仲介役をしているのです。
この酵素はその名の通りポリフェノール(を)オキシターゼ(酸化させる)で、それ以外の働きはしません。
桃の皮をむいたり切ったりすると断面が空気に触れます。
そうすると桃の果肉の中にある酵素が酸素に触れ、酸素を桃のポリフェノールとくっつけます。
そうなる事で桃が変色してしまいます。
ちなみにこのように茶色くなる事を褐変(かっぺん)といいます。
そして今回の桃のコンポートのように酸素の働きによって反応する事を『酵素的褐変』と呼びます。
ざっくりまとめると、
変色するのは桃のポリフェノールと空気中の酸素が酸化酵素によってくっつき、化学反応を起こしたから
それが原因です。
桃のコンポートが茶色にならないようにする方法
先ほど酵素よって桃のポリフェノールが酸素と化学反応を起こして茶色くなるとご説明しました。
茶色くなる原因は『ポリフェノール・酸化酵素・酸素』の3つです。
この3つが揃って化学反応が起こって茶色くなる訳です。
ですので、変色を防ぐためにはこの3つのどれかの働きを抑えてしまえばいいのです。
完全に空気をシャットアウトして酸素に触れないようにするのは難易度が高いです。
ポリフェノールを取り除く事もできません。
ですので、一番簡単なのは酵素の働きを止める事になります。
その方法をご紹介しますね。
桃のコンポートの変色しない作り方のポイント
生の桃や桃のコンポートを変色させる酸化酵素の正体、それはタンパク質です。
タンパク質は熱に弱く、高温になると壊れてしまいます。
ポリフェノールオキシターゼ酵素も壊れてしまえば酸素とくっつく事ができなくなります。
酸化酵素をぶっ壊せ!
これが変色を防ぐ手段です。
酵素は60℃を超えると壊れはじめます。
でも、60℃を超えても70℃位までは全ての酵素が完全に壊れる訳ではありません。
桃の変色を防ぐために酵素を壊すには、85℃になるまで加熱したほうがいいと言われます。
85℃といっても桃を煮ているシロップや桃の表面だけが85℃になっているだけではダメです。
桃の中心部分までしっかり85℃にする必要があります。
なぜなら酵素のポリフェノールオキシターゼは切った桃の表面だけにある訳ではなく、内部にもあるから。
中まで高温になっていないと酵素を壊して不活性化することができません。
働く力を持った酵素が残っていれば…時間が経つと表に出てきて酸素と反応します。
コンポートのレシピには桃を3、4分サッと煮るものもありますが、これだと酵素の働きを止める視点で見ると加熱時間が足りないです。
もちろん桃を薄く切れば内部が85℃になる事もあるので、その時はいいかと思います。
でも、桃を半分にカットした場合、最初に一度シロップを沸騰させたとしても弱火で3、4分では内部が85℃に達するのは難しいでしょう。
桃を半分にカットして作るなら、中までしっかり高温にするため10分は煮た方がいいですよ。
桃のコンポートの色をきれいなピンクにするには
桃のコンポートを煮る時に内部が85℃になるまで加熱すると、かなり変色しにくくなります。
酵素が壊れてしまい、仕事できなくなってくれれはこっちのもんです。
それでも油断できません。
なぜなら加熱したとしてもダメージを受けていないポリフェノールオキシターゼがいる可能性があるからです。
コンポートを煮てからの対策もご紹介しますね。
桃をシロップに沈めておく
中までしっかり加熱した桃のコンポートでも、まだ働く余力のあるポリフェノールオキシターゼが残っている事があります。
それが酸素と触れると茶色く変色してしまいます。
そんな残念な思いをしない為に、煮た後は桃を完全にシロップに沈めておきます。
コンポートを冷ます時はお皿などで落としぶたをして、桃がシロップから出ないようにしておきましょう。
桃が空気に触れていると酸素と接触してしまいます。
それを出来るだけ防ぐためにシロップに桃を沈めておくといいですよ。
桃のコンポートをきれいなピンク色にしたい場合
白桃の缶詰の桃は白いです。
でも、家で作るコンポートとなるとうっすらピンク色になっているイメージがありませんか?
ピンクのコンポートにするには桃を皮ごと煮ます。
そうすると皮のピンク色の色素がシロップに流れ出て、桃の実がピンクに染まります。
茶色く変色するのを防いだら、きれいにピンクにしたいですよね。
そこで、桃のコンポートをきれいなピンク色にするコツもご紹介しますね。
白い砂糖を使う
まずは砂糖です。
三温糖やきび砂糖を使っている方もいらっしゃるかと思います。
コンポートを茶色い砂糖で作ってしまうと、砂糖の色によって色が若干くすみます。
きれいな色に仕上げたい場合はグラニュー糖か上白糖の白い砂糖を使うといいですよ。
更に上白糖よりグラニュー糖の方が純度が高い砂糖ですので、よりきれいな色にしたい場合はグラニュー糖で作るようにするといいです。
レモン汁を加える
桃のコンポートをきれいなピンク色に仕上げるためのアイテム、それはレモン汁です。
多くのコンポートのレシピにはレモン汁を加えると書いてありますよね。
レモン汁の主な役割はレモンの酸味と香りでコンポートの味を引き締める事です。
それだけでなく、レモンを入れる事で桃のピンク色が鮮やかになります。
その理由は桃のピンク色の色素にあります。
桃のピンクの色素はブルーベリーで名高いアントシアニン。
アントシアニンの色は紫だけでなく、桃のピンクやイチゴの赤もあります。
このアントシアニンですが、リトマス試験紙のように酸性かアルカリ性で色が変化します。
酸性だと赤、中性だと青、そしてアルカリ性だと緑~黄色になります。
桃のコンポートに酸性のレモン汁を加える事でアントシアニンが赤っぽく変化し、桃のピンク色がきれいに発色するという訳です。
もし、きれいなピンクにしたければレモン汁を加えて下さいね。
ちなみに桃に酸味はあまりありませんが、桃自体は酸性です。
桃のコンポート作りにロゼワインを使う
桃の皮が濃いピンク色であればあるほど、コンポートの色も濃く付きます。
皮だけできれいな淡いピンクになります。
皮の色が白っぽい桃だけどコンポートをピンクにしたい…
もっと鮮やかなピンク色にしたい…
そういう時でもしっかりピンクにする事ができます。
それは、コンポートを煮るシロップにロゼワインを使う事です。
レシピに白ワインを使う物がありますよね。
その白ワインをロゼワインに変えてしまえばワインの色で桃が着色されます。
ロゼワインを使うと結構濃い目のピンクになります。
淡いピンクにしたい場合は白ワインとロゼワインを半分ずつにして調整して下さい。
ちなみに赤ワインを使うと桃とは思えない程真っ赤になります。
同時にワインの渋みもコンポートに付きます。
下手すると色が赤を通り越してドス黒くなる事も…
そんな事もあり、個人的には色付けにワインを使うなら赤ワインでなくロゼワインをおすすめします。
でも、赤ワインで煮るとかなり深い赤に仕上がるので、酵素で茶色く変色してもわからないからそこの心配はしなくていいのか…と思ったりもしました。
最後に
実は桃のコンポートが変色する理由は、切ったりんごが茶色くなるのと同じです。
果物は酸化させる酵素がある事によって、ポリフェノールが酸素と反応して変色してしまうのです。
今回はコンポートですので加熱して酵素を壊す方法が一番効果的です。
しっかり加熱して出来るだけ酵素を壊すように作ってみて下さいね。