干し芋を作ってみたけど、どうしても白い粉がふかない。
市販の干し芋にはきれいに白い粉が付いている物がありますよね。
あんな風になっているとおいしそうです。
しかし、家ではなかなかそんな風に作れません。
どうしたら手作りの干し芋に粉をふかせる事ができるのでしょうか?
今回は干し芋の白い粉をふかせる作り方についてお伝えしていきます。
干し芋に白い粉を出す作り方は?
昔ながらの干し芋のイメージは、表面に白い粉が付いている物ですよね。
この粉が付いているとおいしそうに見えます。
同じように白い糖の粉をふく物は干し柿がありますね。
白い粉が吹いた干し芋を軽く炙ると、香ばしくて少し柔らかくなっておいしいです。
干し芋自体は一般家庭でも作る事ができます。
さつまいもを蒸かして切って干すだけですから、作り方としては簡単です。
しかし…
なぜか干し芋に白い粉が吹かない!
いい感じで乾いておいしい干し芋になっているけど粉がない…
何だか物足りない感じがしますよね。
そこで、どういった仕組みで白い粉が吹くのか確認してみました。
干し芋の白い粉の正体は何?
干し芋の白い粉はさつまいもの糖分が表面に浮き出て、乾燥して結晶となったものです。
いわゆる糖の塊なのですが、さつまいもの糖は麦芽糖といって水あめと同じ種類の糖です。
麦芽糖は非常に甘さ控えめな糖なので、この白い粉を舐めても砂糖のような強い甘さを感じる事はありません。
この白い粉は、干し芋の表面に糖がにじみ出てくる事、乾燥が進む事で出てきます。
さらにさつまいもは干し終わってから保存している間も、βアミラーゼというデンプンを糖に変える酵素が働いています。
酵素によって糖が増えていきますので、保存期間が長くなると増えた糖が結晶化して白い粉も増えていきます。
ただし粉をふくと同時に乾燥するので干し芋は固くなりますよ。
干し芋に白い粉を吹かせるには、芋の中の糖が表面に出てくる事と乾燥の2つが揃う必要があるのです。
また、さつまいもの種類によって白い粉が吹きやすい物があります。
粉を吹きやすいのは玉豊(たまゆたか)とか泉13号といった品種です。
干し芋用の白いさつまいもですね。
実はこの玉豊や泉13号はスーパーなどで一般向けに流通していません。
干し芋業者さんが専用で栽培している品種なので、この品種の芋自体を購入する事はできません。
干し芋に粉をふかせる方法
さつまいもが乾燥する事で出てくる干し芋の白い粉。
干し芋を手作りしても、なかなか粉はふきません。
家で作る干し芋に粉をふかせるには具体的にどうしたらいいのか?
その方法を2つご提案します。
干し芋を作る時期は一年で一番寒い時!
干し芋に白い粉をふかせるには、とにかく寒い時期に作る事がポイントの一つです。
冷たくて乾燥した風に吹かれ、さつまいもがよく乾燥すれば粉は出てきます。
日中でも気温が10℃を下回り、晴天が続く時期に作るのが理想です。
寒い時期の日中と夜間の温度差も必要です。
凍えるような夜の空気にさらされたサツマイモの糖が日中の日差しを浴びると温度が上がって水分と共に糖が表面に出てきます。
これが乾いた風で乾燥する事で白い粉になります。
ただ、干し芋に白い粉が出てくるまでは日数がかかります。
そして白い粉が出てくるまで干すと乾燥が進みますので、カチカチの固い干し芋になります。
干し芋をしばらく保存して日数を置く
冬の空気にさらしてよく乾燥させる以外にも白い粉をふかせる方法があります。
干し芋に白い粉をふかせるには、干し終わった干し芋を保存しておく事です。
最初にお話ししたように、干し芋は保存中もβアミラーゼという酵素が糖を作っています。
要するに保存期間が長くなると糖が増え、白い粉がふきやすくなるという事です。
大抵お店で売っている市販の干し芋の粉がふいたものは、干してから冷凍、もしくは冷蔵で貯蔵している物です。
時間が経つと勝手に干し芋に白い粉が現れますので、干している間に粉を出そうとしなくても大丈夫です。
干し芋を保存して白い粉を出すには?
干してから保存しておけば干し芋に白い粉がふきます。
干し芋により期間はまちまちですが、早ければ1週間も保存しておくと粉が出てきます。
では、どう保存するのか?
これは普通に干し芋を保存するのと同じように、冷蔵庫、もしくは温度が10度以下の寒い場所で保存します。
干し芋をジッパー付きの保存袋に入れて密封しておけばOKです。
この時、干し芋をまとめて袋に入れてもいいのですが、ペタッと袋を密封すると干し芋同士がくっついてしまいます。
取り出しやすくするなら、干し芋を1個ずつラップで包んでから袋に入れて密封するといいですよ。
保存期間の目安は3ヵ月です。
カビさえ生えなければ…!
干し芋の白い粉とカビの見分け方
干し芋の白い粉を出すには冬の寒風にさらしてよく乾燥させる事。
そして保存して日数を置く事です。
この保存する事で白い粉をふかせる方法で、ちょっと気がかりな事があります。
干し芋の表面に現れる白い物体は、糖の結晶以外もあるからです。
粉以外の白い物体、それは、カビ…!
干し芋に緑や青、ピンクの斑点が現れたら、ひと目見てカビだと分かりますよね。
しかしカビには白カビというのがあります。
パッと見ただけでは粉なのかカビなのかわかりません。
どう見分けるのか?
そのポイントをご紹介します。
干し芋の白い粉とカビの見分け方は?
まず、白い物体をよく見てみましょう。
その物体は片栗粉や小麦粉をまぶしたように見えますか?
粉の粒子が付いているようならさつまいもの糖の粉です。
もし白い部分がホワホワとした胞子のように見えたらカビです。
そして粉と違って白カビの生えている部分は盛り上がって見えます。
もし見た目で判断できなければニオイです。
カビならカビ臭いニオイがします。
大抵カビなら見た目でわかります。
暖かい所に放置していなければ、あまりカビの心配はありませんが、もし怪しいと思ったらよく見て確認して下さい。
最後に
白い粉が吹くのは、干し芋の乾燥が進んだ時です。
食べやすい半生状態の柔らかい干し芋だと乾燥が足りないので粉が吹きません。
残念ですが家でねっとりした柔らかい干し芋に粉をふかせる事はできません。
柔らかさと粉のどちらかの選択となりますよ。
白い粉がある干し芋は、炙って食べると粉の所が焦げて香ばしくておいしいです。
カビに注意しながら上手く粉をふかせて下さいね。